大好きなシンギング・リン®を瑠璃色にできないか、実は開発の段階から模索していました。しかし、2004年時点では、天然漆での塗装において、漆黒の金胎漆塗装開発も難題だったため、瑠璃色は到底無理だとあきらめていました。それが、漆黒リンの認知が高まった2015年、漆黒の漆塗装職人の増員で職人さんとの関係性がより深くなり、瑠璃色の漆の開発についての話が進んでいったのです。
漆自体は茶色の樹液ですので、きれいな色を再現するのは難しい課題です。まず日本画で使うラピスラズリを粉砕して作る顔料を漆に混ぜ塗装してみましたが、重ねて塗ると色が濃くなり黒ずんでしまいました。薄く塗ると筆跡や塗りムラが目立ってしまいます。そこで思いついたのは、もともとの超合金の金色と塗り重ねの濃淡を生かしてオパールのような美しい仕上がりにできなかというアイディアでした。
塗装前の金色のシンギング・リンの表面に酸で斑模様をつける工程を加え、その上にラピスラズリの顔料ときらめきを保持するための真珠パウダーを絶妙な割合で混ぜた漆塗料を焼き付け塗装していきます。結果、斑模様と瑠璃塗料の掛け合わせが緑から藍色へと変化する絶妙なグラデーションを生み出し、筆跡もムラも芸術の領域へと進化することとなりました。
こうして色を出すことは可能になったのですが、いざ制作となると、酸で模様をつける工程の時間配分の難しさ、塗りと焼きの工程の温度と湿度管理による色の出方の難しさに直面し、実験を繰り返す中、びっくりするほどの数の失敗作が生まれてしまいました。残念ながらそれらはすべて溶かして削り直しです。何度ものチャレンジを経て、職人さんの技が極まっていきました。
そして、108セットの瑠璃リンが完成しました。特別なマーキングと名入れも施され、販売と同時に、あっという間に完売となってしまいました。
有り難いことに完売となってもお問い合わせはやまず、すぐ職人さんに増産のお願いをしたのですが、瑠璃リン塗装の難しさを誰より痛感されていた職人さんからは、「しばらく考えさせてほしい」という残念なお返事でした。それがコロナ禍により、職人さんの仕事の状況も一変。再度のお願いに、「時間をかけてゆっくりの生産であれば協力する」というお返事をいただくことができました。ピンチがチャンスとなって今回の再販にこぎつけたということなんです。
瑠璃リンの漆塗装をできる職人さんは世界にお一人しかいませんので、ご無理させることはできず、製造にはどうしても時間がかかります。また、色あいも模様も一つずつ趣が異なりますので、それを妙味と味わっていただけますようご理解をお願い申し上げます。真珠パウダーを混ぜていますので、艶やかな漆黒リンと異なりマットな風合いです。
おかげさまで毎日喜びと感謝の気持ちがあふれ幸せです。
特製の金襴生地携帯袋に入れて旅行にも持ち運び、あちこちで奏でて楽しんでいます。特に瑠璃リンは、演奏用として活躍してくれています。
ご要望にお応えして、単品でも購入ができますし、漆黒と瑠璃をセットにしていただくこともできます。いろいろなバリエーションが増えることでシチュエーションに合わせてシンギング・リンをご活用いただければ嬉しいです。
シンギング・リン®の音響が世界中で響き渡る笑顔あふれる健やかな未来を、ぜひご一緒に創出してまいりましょう( ^^) _U~~♪
こころからの感謝といっぱいの愛を込めて…
和 真音
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